資本金の決め方|会社設立で意識すべき4つの線
会社設立で資本金をいくらにするかを、税金・手数料・対外的な見え方の観点から整理しました。freeeの入力画面に打ち込む前に、自分で判断するための記事です。
freeeの入力画面に資本金の欄が出てきて、そこで手が止まる。会社設立の準備でいちばんよくある足止めのひとつです。1円でもいいと聞くけれど、では実際いくらにすればいいのか。
この記事では、資本金を決めるときに意識すべき線を4つに整理します。税金、手数料、運転資金、対外的な見え方。この4つを押さえれば、自分の金額が決まります。
資本金は「1円でもいい」が、それでいいわけではない

会社法上、資本金の最低額は定められていません。1円でも会社設立はできます。
ただし、1円の会社を作って困らないかというと、そうではありません。実務上はいくつかの観点から金額を決めることになります。
資本金は、会社が事業を始めるための元手です。ここから家賃を払い、仕入れをし、人件費を出すことになります。
つまり、当面の運転資金として足りる額であることが、いちばん実務的な要件になります。
それに加えて、税金や手数料の区分に関わる線がいくつか走っています。金額をまたぐと負担が変わる場所です。
さらに、資本金は登記簿に載ります。取引先や金融機関が見る数字なので、対外的な見え方も無視できません。
freeeの入力画面では金額を打ち込むだけですが、その裏にはこうした複数の観点があります。
この記事では、それらを4つの線として整理します。
自分の事業に必要な額を先に出して、その近くにある線を確認する。この順序で考えるのが実際的です。
会社設立の段階で完璧な金額を決める必要はありません。増資はあとからできます。
ただし、増資には登記の費用がかかるので、最初に少し余裕を持たせておくほうが後の手間が少なくなります。
freeeの入力画面では、資本金の欄はただの数値入力です。何を根拠に決めればいいのかまでは案内されません。だからこそ、打ち込む前に自分で整理しておく必要があります。以下では、4つの線を順に見ていきます。
以下では、4つの線を順に見ていきます。
この章で参照した情報会社設立時の資本金の決め方とは?金額設定の目安や払込のやり方を徹底解説「会社設立時の資本金の決め方とは?金額設定の目安や払込のやり方を徹底解説」(2026年9月9日 確認)
線1:1,000万円(消費税の免税)

4つの線のなかで、いちばん影響が大きいのが1,000万円です。
設立時の資本金が1,000万円未満なら、原則として設立1期目と2期目は消費税の免税事業者になります。
これは、消費税の判定に使う基準期間の課税売上高が存在しないためです。新しく作った法人には過去がないので、判定のしようがないという理屈です。
逆に、資本金が1,000万円以上だと、設立1期目から課税事業者になります。この差は金額としてかなり大きい。
ただし、インボイス発行事業者に登録すると、免税の要件を満たしていても課税事業者になります。
取引先が課税事業者ばかりなら、インボイスの登録を求められることが多いはずです。その場合、免税の恩恵は受けられません。
逆に、個人の消費者が主な取引先なら、登録しないという選択もあり得ます。この場合は免税の効果が残ります。
また、特定期間の課税売上高や給与等支払額による判定もあるため、必ず2期まるまる免税になるとは限りません。
freeeの入力画面で資本金を打ち込むとき、この線だけは必ず意識してください。
会社設立の段階で1,000万円以上の資本金を入れる理由があるなら、それは事業の必要からでしょう。
許認可の要件で最低額が定められている場合などが、これにあたります。
freeeで会社設立の入力を進めながら、この判断だけは別に時間を取って考えてください。1,000万円という線は、あとから資本金を減らして戻すことが難しい種類の分岐です。この判断は税務の領域なので、迷うなら税理士に相談する価値があります。
この判断は税務の領域なので、迷うなら税理士に相談する価値があります。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「会社設立後に最長2年間消費税が免除になる?要件や注意点を解説」(2026年9月9日 確認)
線2:100万円と300万円(定款認証の手数料)

株式会社の会社設立では、定款認証の手数料が資本金の額等によって変わります。
100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円とされています。
さらに、発起人が自然人のみで3人以下、全株引受の記載あり、取締役会を置かないという条件を満たせば1万5,000円の区分もあります。
つまり、99万円にするか100万円にするかで1万円変わることになります。
ただし、この1万円のために事業に必要な資本金を削るのは本末転倒です。
資本金は当面の運転資金として必要な額から決めるのが基本で、手数料の区分はその近くに線があるかを確認する程度に使ってください。
合同会社なら定款認証そのものが不要なので、この線は関係ありません。
freeeの入力画面ではこの区分は表示されないので、自分で意識する必要があります。
99万円と100万円で迷っているなら、99万円を選ぶ理由にはなります。
一方、必要な額が150万円なら、素直に150万円にすべきです。
会社設立の費用を数万円抑えるより、事業が回るほうがはるかに大事です。
freeeの画面には認証手数料の区分まで表示されないので、日本公証人連合会の案内を自分で確認することになります。自分で会社設立を進めるなら、この優先順位を間違えないでください。
自分で会社設立を進めるなら、この優先順位を間違えないでください。
この章で参照した情報日本公証人連合会「会社の定款手数料の改定」(2026年9月9日 確認)
線3:登録免許税が増え始める額

3つめの線は登録免許税です。資本金の額×0.7%で計算し、最低額に満たなければ最低額になります。
株式会社の最低額は15万円、合同会社の最低額は6万円です。
つまり、株式会社では資本金が2,143万円くらいまでは一律15万円。それを超えると0.7%の計算のほうが大きくなります。
合同会社なら、857万円くらいまでは一律6万円になります。
小さく始める会社設立では、この線に触れることはほとんどありません。
ただし、資本金を大きくする予定があるなら、この計算を頭に入れておいてください。
たとえば資本金3,000万円の株式会社なら、登録免許税は21万円になります。最低額より6万円多い。
freeeの画面でも税額の案内が出ることがありますが、自分でも検算しておくと安心です。
この線は、1,000万円の線(消費税)よりも上にあります。だから、通常はまず消費税の線を意識することになります。
会社設立の段階で数千万円の資本金を入れるケースは、そう多くありません。
ただし、許認可の要件で高額の資本金が必要な事業もあります。
freeeで資本金を入力すると、登録免許税の目安が案内されることがあります。ただし最終的に納めるのは自分なので、金額は必ず自分でも確かめてください。自分の事業が該当するかを確認してください。
自分の事業が該当するかを確認してください。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「会社設立にかかる登録免許税とは?計算方法や半額にする方法を解説」(2026年9月9日 確認)
線4:運転資金として足りるか

4つめの線が、いちばん実務的な基準です。当面の運転資金として足りるかどうか。
会社設立の直後にかかる費用を書き出してみてください。家賃、仕入れ、外注費、通信費、そして自分の役員報酬。
これらの3〜6か月分をまかなえる額を資本金にしておくと、事業の立ち上がりが安定します。
売上がすぐに立つとは限りません。入金までに時間がかかる業種なら、なおさら余裕が必要です。
資本金が足りなければ、役員からの借入という形で補うこともできます。ただし、最初から余裕を持たせておくほうが単純です。
逆に、資本金を大きくしすぎると、消費税や登録免許税の線に触れることになります。
つまり、必要な額と、税金の線のあいだでバランスを取ることになります。
freeeの入力画面で金額を打ち込む前に、この計算を紙の上でやっておいてください。
事業に必要な額を先に出して、その近くにある線を確認する。この順序が実際的です。
自分で会社設立を進めるなら、この判断も自分でします。
事業計画を作っているなら、その数字がそのまま使えます。
freeeの会計ソフトを設立後に使うなら、この試算がそのまま最初の予算になります。会社設立の段階で数字を作っておくと、1期目の運営がぐっと楽になります。作っていないなら、この機会に簡単なものを作ってみるのもよいでしょう。
作っていないなら、この機会に簡単なものを作ってみるのもよいでしょう。
この章で参照した情報会社設立時の資本金の決め方とは?金額設定の目安や払込のやり方を徹底解説「会社設立時の資本金の決め方とは?金額設定の目安や払込のやり方を徹底解説」(2026年9月9日 確認)
対外的な見え方も無視できない

資本金は登記簿に載ります。登記事項証明書を取れば、誰でも見られる数字です。
取引先が与信の判断で見ることもありますし、金融機関が融資の審査で見ることもあります。
極端に少ない資本金だと、説明を求められることがあります。「なぜこの金額なのか」と聞かれたときに答えられる必要があります。
法人口座の開設でも、資本金の額が確認されることがあります。事業の実態が見えないと、審査に時間がかかることもあります。
とはいえ、資本金が大きければ信用があるという単純な話でもありません。事業の内容と実績のほうが重視される場面も多い。
目安としては、100万円を下回ると少し説明が必要になるという感覚を持っている人が多いようです。
ただし、業種によって事情は違います。設備の要らない事業なら、少額でも不自然ではありません。
freeeの画面には出てこない観点なので、自分で考える部分です。
会社設立の段階で、これから3年のあいだに誰と取引するのかを想像してみてください。
相手が資本金を気にする業界なら、少し多めにしておく理由になります。
自分で会社設立を進めるなら、この判断も自分の仕事です。
会社設立のあとで資本金を増やすこともできますが、そのたびに登記の費用がかかります。最初の数字が長く残ることを意識しておいてください。数字は登記簿に残り続けます。
数字は登記簿に残り続けます。
この章で参照した情報法人口座を会社設立後すぐに開設する方法は?審査のポイントや必要書類のまとめ「法人口座を会社設立後すぐに開設する方法は?審査のポイントや必要書類のまとめ」(2026年9月9日 確認)
4つの線を並べて考える

ここまでの4つの線を、表にして整理します。

判断の順序としては、まず運転資金として必要な額を出します。これが出発点です。
次に、その額が1,000万円を超えるかどうかを確認します。超えるなら、消費税の扱いが変わります。
そして、100万円や300万円の線の近くなら、定款認証の手数料の区分を確認します。
この順序で考えれば、迷う時間は短くて済みます。
freeeの入力画面で悩むより、紙の上で計算してから打ち込むほうが早いはずです。
freeeの入力データは何度でも書き換えられるので、複数の金額で試してみて、実費の総額がどう変わるかを見比べるという使い方もできます。自分で会社設立を進めるなら、この判断は自分でします。誰かが決めてくれるものではありません。
自分で会社設立を進めるなら、この判断は自分でします。誰かが決めてくれるものではありません。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「会社設立を自分で行うには?費用・必要な手続き・設立時のポイントを解説」(2026年9月9日 確認)
あとから変えられるのか

資本金は、会社設立のあとから変えることもできます。増資も減資も可能です。
ただし、どちらも登記が必要になります。そのたびに登録免許税と手続きの手間がかかります。
増資の登録免許税は、増加した資本金の額×0.7%で計算し、その額が3万円に満たなければ3万円といった水準が目安とされています。
減資はさらに手続きが重く、債権者保護の手続きも必要になります。気軽にできるものではありません。
つまり、あとから変えられるとはいえ、費用と手間はかかるということです。
だから、最初に少し余裕を持たせておくほうが結果的に安く済みます。
とはいえ、余裕を持たせすぎて1,000万円を超えると、消費税の扱いが変わります。
このバランスを考えて決めることになります。
freeeの入力画面では金額を何度でも打ち直せますが、登記が済んだあとはそうはいきません。
会社設立の段階でよく考えておく意味は、ここにあります。
自分で会社設立を進めるなら、この判断に時間をかける価値があります。
会社設立の入力を進める前に、この検討を済ませておいてください。画面を開いてから悩むと、そこで手が止まります。数分の検討が、あとの数万円を左右します。
数分の検討が、あとの数万円を左右します。
この章で参照した情報法務局「商業・法人登記申請手続」(2026年9月9日 確認)
まとめ:必要な額から出発して、線を確認する

資本金の決め方について、ここまでの内容をまとめます。
- 会社法上の最低額はない。1円でも会社設立はできる
- 1,000万円未満なら原則として設立1期目と2期目は消費税の免税事業者
- ただしインボイス登録をすれば課税事業者になる
- 株式会社の定款認証の手数料は、100万円・300万円の線で区分が変わる
- 登録免許税は、株式会社なら2,143万円くらいまで一律15万円
- 運転資金の3〜6か月分をまかなえる額が実務的な目安
- 登記簿に載る数字なので、対外的な見え方も考える
判断の順序は、必要な額を出す → 1,000万円を超えるか確認する → 手数料の区分を確認する。この順で進めてください。
freeeの入力画面では金額を打ち込むだけですが、その裏にはこれだけの観点があります。
この記事の内容は2026年9月9日に一次情報および各社の解説で確認したものです。制度は変わります。実際に決めるときは、各章の出典リンクから最新の内容を確かめ、必要なら税理士に相談してください。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「会社設立後に最長2年間消費税が免除になる?要件や注意点を解説」(2026年9月9日 確認)
資本金をいくらにするかは、会社設立の準備でいちばん悩む項目のひとつです。正解がないぶん、決めるのに勇気が要ります。
でも、必要な運転資金から出発すれば、答えはおのずと絞られます。そのうえで1,000万円を超えないようにする。それだけで、大きく外すことはありません。
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