会社設立後の記帳をどう始めるか|1期目を自分で回すための考え方
会社設立後の記帳を自分で回すための考え方をまとめました。freee会計で1期目をどう進めるか、どこから税理士に頼むかの判断まで整理しています。
会社設立の登記が終わり、freee会計の初期設定も済んだ。ここから1期目の記帳が始まりますが、個人事業の確定申告とは勝手が違います。何をどこまで自分でやるのか、迷う場面です。
この記事では、1期目の記帳を自分で回すための考え方を整理します。日々の作業、月次でやること、決算に向けた準備、そして税理士に頼む場合の線引き。会社設立を自分で進めた人が、その勢いのまま記帳も進められるようにまとめました。
法人の記帳は、個人の確定申告とどう違うか

個人事業の確定申告と法人の決算・申告は、同じ「帳簿をつけて申告する」でも中身がかなり違います。まずこの差を知っておいてください。
個人の青色申告でも複式簿記が求められますが、法人ではそれが前提です。貸借対照表と損益計算書に加えて、株主資本等変動計算書などの書類も必要になります。
申告書の様式もまったく別です。法人税の申告書は別表と呼ばれる書類の集まりで、個人の確定申告書に慣れていても戸惑います。
さらに、法人税だけでなく法人住民税と法人事業税の申告も必要です。提出先も税務署・都道府県・市町村と分かれます。
役員報酬の扱いも独特です。会社から自分に給与を払う形になるので、源泉徴収と年末調整も発生します。個人事業にはなかった作業です。
freee会計を使えば日々の記帳は個人のときとあまり変わりませんが、決算と申告の段階で難易度が上がります。ここが分かれ目です。
会社設立を自分で進めた人でも、決算と申告は税理士に頼むという判断は珍しくありません。むしろ、それが標準的な形かもしれません。
とはいえ、日々の記帳を自分でやっておけば、税理士に頼む範囲を絞れます。費用も抑えられるので、その分担は現実的です。
freeeで会社設立の書類を作れたなら、記帳の画面に戸惑うことはないはずです。入力の作りは似ていますし、会社設立で入れた情報がそのまま使える部分もあります。この記事では、その前提で「自分でやる範囲」の進め方を書いていきます。
この記事では、その前提で「自分でやる範囲」の進め方を書いていきます。
この章で参照した情報弥生株式会社(経理お役立ち情報)「法人でも青色申告できる?申告のメリットや必要な手続きを解説」(2026年9月9日 確認)
日々やること:取引を登録する

日々の作業は、取引を登録することです。法人口座を連携していれば、入出金の明細が自動で取り込まれます。
あとは、それぞれの取引が何のためのものかを選ぶだけです。売上なのか、経費なのか、経費ならどの科目か。候補から選べるので、簿記の知識がなくても進められます。
いちばんのコツは、溜めないことです。会社設立から数か月は取引が少ないので、週に一度でも見ておけば追いつきます。
半年溜めると、何の支払いだったか思い出せなくなります。領収書と突き合わせる作業に何日もかかることになります。
現金での支払いは、口座連携では拾えません。領収書を保管して、別に入力する必要があります。できるだけカードや口座振替に寄せると楽です。
法人カードを作って連携しておくと、経費の記帳がかなり楽になります。会社設立の直後に申し込んでおくとよいでしょう。
領収書は撮影して保存する機能もあります。紙の管理が苦手なら、この機能を使うという手もあります。
自分で会社設立を進めた人なら、この程度の作業に戸惑うことはないはずです。慣れれば週に30分ほどで済みます。
freeeでは、取り込んだ明細に対して勘定科目を推測して提案してくれる仕組みがあります。同じ取引先からの入金が続けば、次からは自動で判定されるようになるので、作業はどんどん軽くなります。
大事なのは習慣にすることです。曜日を決めて、その日にまとめて処理するというやり方が続きやすいと思います。
この章で参照した情報freee ヘルプセンター「freee会計の初期設定の流れ」(2026年9月9日 確認)
月ごとにやること:役員報酬と源泉所得税

法人になると、毎月やることが増えます。代表的なのが役員報酬の支払いと、源泉所得税の処理です。
役員報酬は、定期同額給与として扱うために毎月同じ額を払います。金額を途中で変えると、損金にならない部分が出ることがあります。
支払うときには源泉所得税を差し引きます。差し引いた分は、会社が国に納めることになります。
納付の期限は原則として翌月10日までですが、源泉所得税の納期の特例を申請していれば年2回にまとめられます。小規模な会社では、この特例を使うことが多いようです。
社会保険料も毎月発生します。年金事務所から通知が来るので、それに従って納めます。会社と個人で半分ずつ負担する形です。
freeeの人事労務のサービスを使うと、給与計算と源泉所得税の処理が連動します。役員が自分ひとりでも、こうした処理は必要です。
会社設立の直後は、これらの流れが定着するまで戸惑うかもしれません。最初の数か月を丁寧にやれば、あとは同じことの繰り返しです。
自分で全部やるのが負担なら、給与計算だけ社会保険労務士に頼むという選択もあります。
freeeの画面でも納付の期限が案内されることがありますが、最終的に管理するのは自分です。会社設立の直後に、年間の期限を一覧にしてカレンダーへ入れておいてください。納付を忘れると延滞税がかかります。期限はカレンダーに入れておいてください。
納付を忘れると延滞税がかかります。期限はカレンダーに入れておいてください。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「役員報酬とは?決め方や給与との違い、定期同額給与や事前確定届出給与も解説」(2026年9月9日 確認)
決算に向けて準備すること

1期目の期末が近づいてきたら、決算の準備を始めます。期末の3か月前くらいから動き始めると余裕があります。
まず、記帳が最新まで追いついているかを確認します。溜まっているなら、ここで一気に片づけます。
在庫がある事業なら、期末の棚卸しが必要です。実際に数えて、金額を出します。
固定資産があれば、減価償却の処理をします。会社設立の費用として計上したものの扱いも、この段階で整理します。
未払いの費用や、前払いした費用の整理も必要です。期をまたぐものは、正しい期に振り分けます。
売掛金と買掛金の残高も確認します。実際の残高と帳簿が合っているかを突き合わせてください。
freee会計にはこうした決算の作業を進める機能がありますが、判断が必要な部分は自分で決めることになります。
会社設立から1年、記帳を自分で続けてきたなら、この作業もこなせるはずです。ただし、申告書の作成は別の話です。
freee会計には決算の進行を管理する機能もあります。何が済んでいて何が残っているかが見えるので、自分で進めるときの道しるべになります。この段階で税理士に相談するなら、早めに連絡してください。決算期は税理士も忙しくなります。
この段階で税理士に相談するなら、早めに連絡してください。決算期は税理士も忙しくなります。
この章で参照した情報freee ヘルプセンター「【法人】開始残高設定ウィザードで開始残高を設定する(設立初年度)」(2026年9月9日 確認)
どこから税理士に頼むか

法人の記帳と申告のうち、どこまで自分でやるか。よくある分け方をいくつか挙げておきます。

いちばん多いのが、日々の記帳は自分でやって、決算と申告だけ税理士に頼む形です。顧問料を抑えつつ、申告の確実性は保てます。
逆に、記帳から丸ごと頼むこともできます。時間を事業に使いたいなら、この選択も合理的です。
freee会計を使っていると、データを共有する形で税理士とやり取りできます。会社設立の段階でfreeeを選んでいるなら、freeeに対応した税理士を探すと連携が楽です。
費用は事務所と依頼する範囲によって変わります。複数の事務所に見積もりを取ると、相場が見えてきます。
freeeに対応した税理士を探す仕組みも用意されています。会社設立の段階でfreeeを選んだなら、その流れで探すのが自然です。データを共有できる相手だと、やり取りの手間が減ります。
自分で会社設立を進めた人なら、記帳も自分でやる意欲があるはずです。その意欲を活かしつつ、申告だけ頼むという分担が向いていると思います。
この章で参照した情報freee会社設立(公式)「経営の相談ができる専門家(税理士や会計士、社労士)をご紹介」(2026年9月9日 確認)
1期目に特有の論点

1期目には、その期にしか出てこない論点がいくつかあります。知っておくと、処理に迷いません。
まず、会社設立にかかった費用の扱いです。登録免許税や定款認証の手数料、印鑑の作成費用など。創立費や開業費として計上する方法があります。
これらは個人が立て替えていることが多いので、精算の処理も必要になります。定款に設立費用の定めがあるかどうかでも扱いが変わります。
1期目の長さも特有の論点です。設立日から期末までなので、12か月に満たないことがほとんどです。
期が短いと、税額の計算で月数按分が必要になる項目が出てきます。法人住民税の均等割などがこれにあたります。
消費税の免税も1期目の論点です。設立時の資本金が1,000万円未満なら原則として免税ですが、インボイス登録をしていれば課税事業者になります。
青色申告の承認申請を出していなければ、1期目は白色扱いです。赤字を繰り越せないので、影響が大きい項目です。
freeeで会社設立を進めた人なら、これらの届出も同じ画面で作れたはずです。出したかどうかを確認しておいてください。
freeeで会社設立から記帳まで一貫して進めていると、こうした1期目特有の処理も画面の案内に沿って進められます。自分で判断がつかない項目があれば、1期目のうちに税理士に相談しておくと、2期目以降が楽になります。
自分で判断がつかない項目があれば、1期目のうちに税理士に相談しておくと、2期目以降が楽になります。
この章で参照した情報freee ヘルプセンター「freee会計の初期設定の流れ(新設法人の場合)」(2026年9月9日 確認)
帳簿と書類の保存

法人には、帳簿と関係書類を一定期間保存する義務があります。会社設立の直後から、この意識を持っておいてください。
保存の期間は原則として一定年数とされていますが、欠損金の繰越しがある場合など、より長い保存が求められる場面もあります。
保存する対象は、総勘定元帳などの帳簿と、請求書や領収書などの書類です。日々の記帳で使った資料は、捨てずに残しておきます。
電子帳簿保存法の要件を満たせば、電子データでの保存も認められます。freeeにも関連する機能がありますが、要件の確認は自分で行う必要があります。
電子取引で受け取った請求書などは、電子のまま保存することが求められる場面があります。制度が変わりやすい分野なので、国税庁の案内を確認してください。
紙で保存する場合は、年度ごとにファイルにまとめておくと探しやすくなります。会社設立の書類も、同じ場所に置いておくと管理が楽です。
自分で記帳を続けるなら、この保存の運用も自分で決めることになります。最初にルールを作っておくと、あとが楽です。
税務調査があった場合、これらの書類を提示することになります。整理されていれば、対応も短く済みます。
freeeに取り込んだデータも、それだけで保存要件を満たすとは限りません。制度の要件は自分で確認する必要があります。会社設立の直後に一度調べておくと、あとで慌てずに済みます。
会社設立から数年たつと書類が溜まります。年度ごとの箱を作っておくのが、いちばん単純で続けやすい方法です。
この章で参照した情報国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」(2026年9月9日 確認)
記帳が続かないときの対処

記帳が続かないという相談は多いものです。会社設立の直後は意欲がありますが、事業が忙しくなると後回しになります。
溜めるほど心理的な負担が増えて、さらに手をつけにくくなる。これがいちばんよくあるパターンです。
対処としては、曜日を決めて習慣にすることです。金曜の夕方に30分、といった形で予定に入れてしまいます。
取引の件数が少ないうちなら、週30分もかかりません。会社設立の直後の、まだ暇な時期に習慣を作っておくのが賢明です。
どうしても続かないなら、記帳から税理士に頼むという判断もあります。費用はかかりますが、確実に処理されます。
記帳代行だけを受け付けている事務所もあります。決算と申告まで含めた顧問契約より、費用は抑えられます。
freeeの画面を毎日開く必要はありません。週に一度でも、月に一度でも、続いていれば問題ありません。
自分で会社設立を進めた人なら、自分で管理する意欲はあるはずです。その意欲が続くうちに、仕組みを作っておいてください。
freeeの画面を開くこと自体を、週の予定に入れてしまうのがおすすめです。開けば5分で終わることも、開かなければ永遠に終わりません。決算の直前に半年ぶんをまとめて処理するのは、いちばん避けたい形です。ミスも増えます。
決算の直前に半年ぶんをまとめて処理するのは、いちばん避けたい形です。ミスも増えます。
この章で参照した情報認定アドバイザー税理士が解説する11項目のチェックリスト「freeeおすすめ初期設定|認定アドバイザー税理士が解説する11項目のチェックリスト」(2026年9月9日 確認)
まとめ:日々は自分で、決算は相談する

会社設立後の記帳について、ここまでの内容をまとめます。
- 法人の決算と申告は、個人の確定申告とは別物
- 日々の記帳は、口座連携があれば確認して科目を選ぶだけ
- 毎月、役員報酬の支払いと源泉所得税の処理がある
- 決算の準備は期末の3か月前から。棚卸し、減価償却、未払いの整理
- 記帳は自分、申告は税理士という分担が現実的
- 1期目には会社設立の費用の処理など、特有の論点がある
- 帳簿と書類には保存義務がある。最初にルールを作る
freeeで会社設立を進めた人なら、その延長で記帳も自分でできます。難しいのは決算と申告のほうです。
溜めないこと。これがいちばんのコツです。会社設立の直後の暇な時期に習慣を作っておくと、忙しくなってからも続きます。
この記事の内容は2026年9月9日時点で確認したものです。制度も画面も変わります。実際に進めるときは、各章の出典リンクと公式ヘルプを確認してください。
この章で参照した情報freee ヘルプセンター「freee会計の初期設定の流れ」(2026年9月9日 確認)
会社設立の手続きが終わると、次は日々の記帳という地味な作業が待っています。派手さはありませんが、これを続けられるかどうかで、決算のときの負担がまったく変わります。
週に30分、曜日を決めて向き合ってみてください。半年後の自分が、そのときの自分に感謝することになります。
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