freee会社設立でできないこと|ツールの限界と、その先の頼み先
freee会社設立でできないことを、対応範囲の外にある作業と判断が必要な場面に分けて整理しました。会社設立を自分で進める人が、どこから人に頼むべきかを見極められるようにしています。
freee会社設立は、会社設立の書類作成をかなりの範囲でカバーしてくれるサービスです。ただ、できないこともあります。それを知らずに始めると、途中で「話が違う」と感じることになります。
この記事では、できないことを2種類に分けて整理します。ひとつは物理的に対応範囲の外にある作業、もうひとつは判断が必要でツールでは代われない場面です。あわせて、その先を誰に頼めばいいのかも書いておきます。
できないこと1:役所への提出そのもの

いちばん誤解されやすい点です。freee会社設立は書類作成のサービスであり、作った書類を役所に提出する部分は含まれていません。ここは自分で動くしかない領域です。
株式会社なら公証役場での定款認証と法務局への登記申請、合同会社なら法務局への登記申請。いずれも平日の日中に動く必要があり、会社員をしながら準備している人には重い工程になります。
司法書士に依頼すれば、この提出まで代わりにやってもらえます。報酬はかかりますが、平日に時間が取れない人にとっては選択肢として現実的です。会社設立の代理は司法書士の業務なので、他の職種には頼めません。
freeeが利用料0円で成り立っているのは、この提出の手間を利用者が引き受けているからです。無料であることと、手間を自分で持つことは表裏一体だと考えてください。
郵送やオンライン申請で外出を減らす方法もありますが、準備の手間や不備時のやり取りを考えると、初めての人には窓口が結局いちばん確実です。
テレビ電話での定款認証に対応している公証役場もあるので、そちらを使えば外出が1回で済む可能性はあります。会社設立の日程を組むときに確認してみてください。
自分で会社設立を進めると決める前に、平日に半日を2回ほど空けられるかを冷静に見てください。ここが厳しいなら、最初から依頼を検討したほうが早く終わります。
この線引きさえ理解していれば、freeeの画面が急に「印刷して法務局へ提出してください」と言い出しても慌てずに済みます。
この章で参照した情報freee会社設立(公式)「freee会社設立|無料で安心、簡単に設立手続き」(2026年9月9日 確認)
できないこと2:内容が正しいかの判断

freeeは、入力された内容を正確に書類の形にします。逆に言えば、入力された内容が妥当かどうかまでは判断しません。ここがツールの本質的な限界です。
商号に誤字があれば、そのまま登記されます。事業目的が実態と合っていなくても、そのまま登記簿に載ります。あとから直すには変更登記が必要で、費用も時間もかかります。
司法書士に依頼した場合、内容の妥当性まで見てもらえます。この違いは大きく、報酬の中身の一部はこのチェックに対するものだと考えることもできます。
自分で会社設立を進めるなら、このチェックは自分の仕事になります。出力されたPDFを印刷して、印鑑証明書と1文字ずつ照合してください。
とくに間違いが多いのは、氏名の漢字、住所の番地の表記、商号の表記の3つです。freeeが作った書類同士は整合が取れていますが、自分で用意した印鑑証明書との継ぎ目でずれます。
可能なら、家族や共同創業者にも読んでもらってください。自分で入力したものは目が滑るので、もう一組の目があると精度が上がります。
この確認に30分かければ、法務局での差し戻しはかなりの確率で防げます。会社設立の作業のなかで、いちばん費用対効果の高い30分です。
ツールが賢くなっても、この部分は当面なくならないでしょう。何を正しいとするかは、その会社の事情によって決まるからです。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「会社設立を自分で行うには?費用・必要な手続き・設立時のポイントを解説」(2026年9月9日 確認)
できないこと3:許認可が絡む事業目的の判断

許認可が必要な事業では、事業目的の文言そのものが要件になっていることがあります。建設業、古物商、人材紹介、飲食業、旅行業など、該当する業種は少なくありません。
freeeの入力画面には事業目的の候補が並びますが、それがあなたの取りたい許認可の要件を満たしているかまでは判断しません。ここは所管の行政庁の案内を自分で読む必要があります。
ここを間違えると、会社設立が終わったあとで許可が下りず、事業目的の変更登記からやり直すことになります。登録免許税3万円と、数日の手間が余計にかかります。
対処としては、会社設立の入力を始める前に、所管の窓口に問い合わせておくことです。「この事業目的で申請できますか」と聞けば、たいてい答えてもらえます。
行政書士に相談するという方法もあります。許認可は行政書士の専門分野なので、複数の許認可を取る予定があるなら、最初から相談したほうが確実です。
自分で会社設立を進める場合でも、この部分だけは人に確認する。そういう使い分けは十分に現実的です。全部をひとりで抱える必要はありません。
許認可が不要な事業なら、この論点は関係ありません。ITサービス、コンサルティング、一般的な物販などであれば、freeeの候補から選んで問題ないでしょう。
自分の事業が該当するかどうか分からないなら、まず調べてください。会社設立の前に30分調べるだけで、あとの数万円と数日が守られます。
この章で参照した情報freee会社設立(公式)「会社設立に必要な定款作成をかんたんに!専門知識なしで書類作成」(2026年9月9日 確認)
できないこと4:標準から外れる会社設立

freee会社設立が得意なのは、標準的な形の会社設立です。発起人が少人数、取締役も少人数、出資は現金だけ。この範囲なら問題なく進みます。
一方、現物出資を入れたい、種類株式を発行したい、外国籍の発起人がいる、複雑な機関設計にしたいといったケースでは、標準の様式から外れます。
現物出資はパソコンや車を出資に充てる方法ですが、金額によっては調査が必要になり、書類も増えます。会社設立を自分で進めるなら、現金だけにしておくのが無難です。
外国籍の発起人がいる場合、印鑑証明書の代わりにサイン証明が必要になるなど、手続きが変わります。この時点でツールの標準からは外れます。
自分のケースが標準的かどうかは、3つの条件で見分けられます。発起人も取締役も少人数、許認可なし、出資は現金だけ。これがそろっていれば、まず標準の範囲です。
どれかから外れるなら、freeeで入力を進めながらも、どこかで司法書士に確認する場面が出てくると考えておいてください。
会社設立を自分でやること自体が目的ではありません。事業を始めるための手段です。無理に完走しようとして時間を失うくらいなら、部分的に頼るほうが合理的です。
複雑なケースでも、freeeで書類の下地を作りながら、判断が要る部分だけ相談するという進め方はできます。全部か無かではありません。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「会社設立に必要な書類は主に11種類!一覧リストや作成・提出方法をわかりやすく紹介」(2026年9月9日 確認)
できないこと5:税務の判断

会社設立の入力では、資本金の額を決めます。1,000万円未満なら原則として設立1期目と2期目は消費税の免税事業者になりますが、いくらにすべきかの判断は税務の領域です。
役員報酬も同じです。設立から3か月以内に決めるのが原則ですが、いくらにすると手取りがどう変わるか、社会保険料がどうなるかという計算は、税理士の仕事です。
freeeには設立後の届出書類を作る機能がありますが、出すか出さないか、いつ出すかの判断までは代われません。インボイスの登録をするかどうかも、取引先の構成によって答えが変わります。
事業年度をいつにするかも、税務の観点が絡みます。免税期間を長く取りたいなら1期目を長くするという考え方がありますが、特定期間の判定など例外もあります。
これらの判断で迷うなら、税理士に相談するのが早いです。会社設立の書類作成は自分で、税務の判断は専門家に。この分担は十分に現実的な形です。
freeeにも専門家を紹介する導線があります。ただし顧問契約が絡む場合があるので、条件は申し込む前に確認してください。
自分で会社設立を進める人でも、設立後の税務まで全部ひとりで抱える必要はありません。むしろ、そこは分けたほうが結果的に安く済むこともあります。
1期目の決算が来る前に、相談先を決めておくと慌てずに済みます。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「役員報酬とは?決め方や給与との違い、定期同額給与や事前確定届出給与も解説」(2026年9月9日 確認)
できないこと6:設立後の期限管理

会社設立の登記が終わったあと、期限の短い届出が続きます。freeeの画面には設立後にやることの案内が出ますが、実際に動くのは自分です。
いちばん短いのが社会保険の新規適用届で、事実発生から5日以内に年金事務所へ出します。法人は役員1人でも加入の対象になるので、従業員がいなくても必要です。
税務署への法人設立届出書は設立の日以後2か月以内、青色申告の承認申請書は設立から3か月を経過した日と1期目の期末のうち早い日の前日までです。
これらの期限を過ぎても、ツールが警告してくれるわけではありません。会社設立の直後は事業の立ち上げにも追われる時期なので、自分でカレンダーに入れておく必要があります。
青色申告の承認申請を落とすと、その事業年度は白色扱いになり、赤字を翌期以降に繰り越せません。1期目は赤字になることが珍しくないので、後から効いてきます。
対処としては、登記を申請した時点で、設立後の届出の期限をすべてカレンダーに入れてしまうことです。完了を待ってから考えると、5日以内には間に合いません。
自分で会社設立を進めるなら、この期限管理も自分の仕事だと最初から思っておいてください。ここを税理士に任せるという判断もあります。
freeeで書類を作れること自体は便利ですが、作るタイミングを決めるのは人間の側です。
この章で参照した情報国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」(2026年9月9日 確認)
できることと、できないことを整理する

ここまでの内容を、ツールの側と自分の側に分けて整理します。この線が見えていれば、途中で慌てることはありません。

右側をすべて自分で引き受けるなら、freeeだけで会社設立を完走できます。実際、条件がそろっていればそれは十分に可能です。
右側のどれかが難しいなら、その部分だけ人に頼めばいい。提出だけ司法書士に、税務判断だけ税理士に。そういう組み合わせも成り立ちます。
大事なのは、線を引かないまま始めないことです。できると思っていたことができないと途中で分かるのが、いちばん時間を失います。
自分で会社設立を進めるなら、この表を一度紙に書き写して、右側の各項目に「自分でやる」「人に頼む」と印を付けてみてください。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説」(2026年9月9日 確認)
誰に頼めばいいのかの対応表

自分でできない部分を人に頼むとき、誰に頼めばいいのか。職種によって扱える範囲が法律で決まっているので、選び方には決まりがあります。
登記の代理は司法書士の業務です。会社設立の登記を代わりに申請してもらいたいなら、司法書士に依頼します。他の職種には頼めません。
税務の相談と申告の代理は税理士の業務です。資本金の額や役員報酬の判断、インボイスの登録をどうするかといった相談は税理士が相手になります。
許認可の申請は行政書士の分野です。事業目的の文言が許認可の要件を満たしているかといった相談は、行政書士か所管の行政庁に聞くのが確実です。
社会保険や労働保険の手続きは社会保険労務士の業務です。従業員を雇う予定があるなら、設立後に相談することになるかもしれません。
freeeには専門家を紹介する仕組みがあり、認定アドバイザーを無料で紹介してもらえるという案内が出ています。実際に契約する場合は各アドバイザーとの取り決めになります。
また、法務局と公証役場には無料の相談窓口があります。登記の書類の書き方や定款の内容については、ここで聞くのがいちばん確実で早い方法です。
自分で会社設立を進めるなら、この相談先の使い分けを覚えておいてください。聞く先を間違えると、答えが返ってきません。
この章で参照した情報freee会社設立(公式)「経営の相談ができる専門家(税理士や会計士、社労士)をご紹介」(2026年9月9日 確認)
まとめ:限界を知ってから使うと、強い道具になる

freee会社設立でできないことについて、ここまでの内容をまとめます。
- 役所への提出は自分でやる。代行ではない
- 入力内容が妥当かの判断はしない。確認は自分の仕事
- 許認可が絡む事業目的の文言は、所管の窓口か行政書士に確認する
- 現物出資や種類株式など、標準から外れるケースには弱い
- 資本金や役員報酬の税務判断は税理士の領域
- 設立後の期限管理は自分でカレンダーに入れる
- 登記は司法書士、税務は税理士、許認可は行政書士。頼み先は制度で決まっている
こう並べると弱点だらけに見えるかもしれませんが、逆に言えば、これ以外はfreeeがやってくれるということです。書類作成の負担が消えるのは、やはり大きい。
限界を知ったうえで使えば、freeeは会社設立を自分で進めるための強い道具になります。知らずに使うと、途中で止まったときに何が起きているのか分かりません。
この記事の内容は2026年9月9日時点で確認したものです。サービスの対応範囲は変わります。使う前に、公式ページで最新の内容を確かめてください。
この章で参照した情報freee会社設立(公式)「freee会社設立|自分でも安心、簡単に設立手続き」(2026年9月9日 確認)
できないことを並べられると、不安になるかもしれません。でも、これは道具の説明書に「この使い方はできません」と書いてあるのと同じことです。知っていれば、困りません。
全部を自分で抱える必要はありません。できないと分かった部分だけ人に頼んで、あとは自分で進める。それがいちばん現実的で、たぶんいちばん早い会社設立の方法です。
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