会社設立を自分でやる手順の全体像|工程を一枚の地図にする
会社設立を自分でやる場合の全体像を、工程ごとに一枚の地図として整理しました。freeeが担当する部分と、役所に出向く部分を最初に把握するための記事です。
会社設立を自分でやると決めたけれど、全体で何をするのかが見えない。個別の記事を読んでも、それが全体のどこに位置するのか分からない。そういう段階の人に向けた記事です。
ここでは、会社設立の工程を一枚の地図として整理します。どこがツールの中で終わり、どこから役所に出向くのか。どこで待ち時間が発生するのか。全体を把握してから、個別の工程に入ってください。
全体は5つの段階に分かれる

会社設立の手続きは、大きく5つの段階に分かれます。まずこの構造を頭に入れてください。
第1段階は「決める」。商号、事業目的、本店所在地、資本金、発起人と役員、事業年度を決めます。
第2段階は「作る」。freeeなどのツールに入力して、定款や登記申請書といった書類を作ります。
第3段階は「認証」。株式会社なら公証役場で定款の認証を受けます。合同会社にはこの段階がありません。
第4段階は「登記」。資本金を払い込み、法務局に登記を申請します。この申請日が会社の設立日になります。
第5段階は「届出」。登記が完了したあと、税務署や年金事務所に届出を出します。
このうち、ツールが担当するのは第2段階だけです。あとは自分で決め、自分で足を運ぶことになります。
第1段階と第2段階は自分の都合で進められますが、第3段階以降は相手の都合が絡みます。
つまり、日程を読むときは第3段階以降を軸に考えることになります。
自分で会社設立を進めるなら、この5段階を紙に書いて手元に置いておくと迷いません。
freeeやマネーフォワードといったクラウドツールを使うかどうかで変わるのは、第2段階の負担だけです。ほかの段階は、どんな方法で進めても同じようにやってきます。会社設立の全体像を掴むうえで、この点は最初に押さえておいてください。
以下では、それぞれの段階を詳しく見ていきます。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「会社設立を自分で行うには?費用・必要な手続き・設立時のポイントを解説」(2026年9月9日 確認)
第1段階:決める

第1段階は決めごとです。会社設立の全工程のなかで、いちばん時間がかかるのがここです。
決めるのは6つ。商号、事業目的、本店所在地、資本金の額、発起人と役員、事業年度です。
このうち商号・事業目的・本店所在地は登記事項なので、あとから変えるには変更登記が必要になります。
事業目的は、いまやる事業と、数年のうちに手を出しそうな事業を書きます。許認可が絡む場合は文言に要件があることがあります。
資本金は、1,000万円未満かどうかで消費税の扱いが変わります。株式会社なら、100万円未満かどうかで定款認証の手数料の区分も変わります。
事業年度は、設立月の直前月を期末にすると1期目を長く取れます。
この段階にかかる日数は人によってまったく違います。すでに決まっている人なら半日、まだ何も決まっていない人なら1週間かかることもあります。
会社設立の期間がばらつく最大の理由がここです。ツールの使い方の問題ではありません。
コツは、完璧を目指さないこと。悩んで1か月止まるくらいなら、いまの事業に素直な内容で決めてしまうほうが前に進みます。
ただし、商号だけは先に決めてください。商号が決まれば会社実印を注文でき、待ち時間を先に始められます。
freeeの画面には事業目的の候補が並んでいるので、それを眺めながら決めるという手もあります。ゼロから考えるより早く決まる人は多いはずです。自分で会社設立を進めるなら、この段階を紙とペンで済ませてから画面を開いてください。
自分で会社設立を進めるなら、この段階を紙とペンで済ませてから画面を開いてください。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「会社設立に必要な書類は主に11種類!一覧リストや作成・提出方法をわかりやすく紹介」(2026年9月9日 確認)
第2段階:作る

第2段階は書類作成です。freeeなどのツールが担当するのは、実はここだけです。
入力画面は質問に答えていく形式なので、決めごとが済んでいれば数時間で終わります。
出力されるのは、定款、登記申請書、就任承諾書、払込証明書の様式など。会社設立に必要な書類が一度に揃います。
この段階で、定款を紙にするか電子にするかも選びます。紙にすると収入印紙代4万円がかかるので、電子を選ぶのが基本です。
電子定款には電子署名が必要で、機材がなければ代行に出すことになります。この判断もこの段階です。
出力されたPDFは、印刷する前に必ず通しで読んでください。商号の表記、住所の番地、氏名の漢字。この3つは間違いが多い。
印刷したら、指定の位置に会社実印や個人の実印を押します。複数ページのものは左側でとじて、つなぎ目に契印を押します。
この印刷と押印の作業には、机の上で半日ぶんの時間が要ります。入力は隙間時間でできても、ここは腰を据える必要があります。
朱肉と製本テープが必要です。準備物として意外と忘れられがちなので、印刷の前に用意しておいてください。
自分で会社設立を進めるなら、この半日をスケジュールに入れておいてください。
freeeの入力データは保存できるので、何日かに分けて進めることもできます。まとまった時間が取れない人でも、少しずつ進められます。ここまで終われば、あとは役所に出すだけです。
ここまで終われば、あとは役所に出すだけです。
この章で参照した情報freee ヘルプセンター「freee会社設立 使い方ガイド」(2026年9月9日 確認)
第3段階:認証(株式会社のみ)

第3段階は定款認証です。株式会社の会社設立にだけ必要な工程で、合同会社にはありません。
本店所在地と同じ都道府県内の公証役場で、定款の認証を受けます。飛び込みでは受けてもらえないので、事前に連絡して日程を決めます。
定款の案は先に送っておき、公証人に内容を見てもらってから当日を迎えるのが普通の流れです。
当日に必要なのは、認証を受ける定款、発起人の印鑑証明書、実印、そして手数料です。実質的支配者となるべき者の申告書も求められます。
手数料は資本金の額等によって変わります。100万円未満なら3万円、100万円以上300万円未満なら4万円、それ以外は5万円です。
テレビ電話での認証に対応している役場もあります。遠方の人や平日に出向けない人には現実的な選択肢です。
認証を受けた定款は原本を受け取ります。これが登記申請の必須書類になるので、大事に保管してください。
この工程は相手の都合が絡むので、予約が取れる日次第で日程が動きます。数日で取れることもあれば、1週間先になることもあります。
だからこそ、定款の案ができた時点ですぐ連絡するのが日程を詰めるコツです。
freeeの電子定款代行を使う場合、このやり取りの一部が代行側で進みます。
freeeが出力した定款をそのまま送って構いません。標準的な様式なので、内容に問題がなければそのまま認証を受けられます。自分で会社設立を進めるなら、この最初の一本の電話を早めにかけてください。
自分で会社設立を進めるなら、この最初の一本の電話を早めにかけてください。
この章で参照した情報日本公証人連合会「9-4 定款認証」(2026年9月9日 確認)
第4段階:登記

第4段階は登記です。ここが会社設立の山場になります。
まず資本金を払い込みます。振込先は発起人個人の口座です。会社設立の前なので、会社名義の口座はまだありません。
タイミングにも決まりがあり、定款を作成した日より後に振り込みます。振込にして記録を残してください。
通帳のコピーを払込証明書と綴じ、会社実印を押します。表紙、口座情報のページ、入金の記録のページの3点が基本です。
書類がそろったら、本店所在地を管轄する法務局に申請します。この申請日が会社の設立日になります。
登録免許税は収入印紙で納めるのが一般的です。台紙に貼りますが、自分で消印を押してはいけません。
窓口では書類を渡し、受付の控えをもらいます。その場で細かく審査されるわけではなく、審査は後日行われます。
不備があれば電話がかかってきます。申請時に伝えた電話番号は必ず出られるようにしておいてください。
登記が完了するのは数日から10日ほど後です。完了日は窓口や掲示で案内されます。
完了したら、登記事項証明書と会社の印鑑証明書が取れるようになります。設立後の手続きで何度も使うので、まとめて数通取っておくと便利です。
freeeが作った書類同士は整合が取れていますが、自分で用意した印鑑証明書との継ぎ目でずれることがあります。会社設立の不備は、たいていここで起きます。自分で会社設立を進めるなら、出発前に机の上で書類を並べて確認してください。
自分で会社設立を進めるなら、出発前に机の上で書類を並べて確認してください。
この章で参照した情報法務局「商業・法人登記申請手続」(2026年9月9日 確認)
第5段階:届出

第5段階は届出です。登記が完了したあと、期限の短い手続きが集中します。
いちばん短いのが社会保険の新規適用届で、事実発生から5日以内に年金事務所へ出します。法人は役員1人でも加入の対象です。
税務署への法人設立届出書は、設立の日以後2か月以内。青色申告の承認申請書は、設立から3か月を経過した日と1期目の期末のうち早い日の前日までです。
給与支払事務所等の開設届出書も必要です。役員報酬を払うなら、従業員がいなくても提出することになります。
都道府県と市町村にも届出が要ります。期限は自治体ごとに定められています。
役員報酬も、設立から3か月以内に決めるのが原則です。定期同額給与として扱うためです。
これらの書類は、freeeの設立後の機能で作ることもできます。会社設立の入力で使った情報が引き継げます。
法人口座の開設も並行して進めます。登記事項証明書が必要なので、完了を待ってからの申し込みになります。
審査に時間がかかるので、早めに申し込んでください。口座が使えるようになるまで1か月以上かかることもあります。
自分で会社設立を進めるなら、登記を申請した時点で届出の期限をカレンダーに入れてしまってください。
freeeの画面にも設立後にやることの案内が出ます。登記の完了を待つあいだに目を通しておくと、完了した瞬間から動けます。完了を待ってから考えると、5日以内には間に合いません。
完了を待ってから考えると、5日以内には間に合いません。
この章で参照した情報国税庁「No.5100 新設法人の届出書類」(2026年9月9日 確認)
待ち時間がどこで発生するか

全体像を把握するうえで、待ち時間がどこで発生するかを知っておくことが重要です。

これらの待ち時間は、自分の努力では縮まりません。だからこそ、先に始めることが大事です。
初日に商号を決めて実印を注文し、公証役場に一次連絡を入れる。その裏でfreeeの入力を進める。この段取りで数日が縮みます。
逆に、入力を全部終えてから印鑑を注文し、それから公証役場に連絡すると、同じ作業量でも2週間近く余分にかかります。
会社設立の期間の差は、能力ではなく段取りの差から生まれます。
freeeの案内は工程順に並んでいるので、そのまま従うと待ちが直列に並びます。自分でスケジュールを引くときは、印鑑と公証役場だけ前倒ししてください。自分で会社設立を進めるなら、この待ちの管理が自分の仕事になります。
自分で会社設立を進めるなら、この待ちの管理が自分の仕事になります。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「会社設立にかかる期間はどれくらい?設立までの流れや期間について解説」(2026年9月9日 確認)
ツールが担当する範囲と、自分がやる範囲

全体像を締めくくるにあたって、ツールと自分の分担を整理しておきます。

右側をすべて自分で引き受けるなら、freeeだけで会社設立を完走できます。
右側のどれかが難しいなら、その部分だけ人に頼めばいい。提出だけ司法書士に、税務判断だけ税理士に。
大事なのは、線を引かないまま始めないことです。できると思っていたことができないと途中で分かるのが、いちばん時間を失います。
自分で会社設立を進めるなら、この表を紙に書き写して、右側の各項目に印を付けてみてください。
freeeを使うこと自体が、すでに一部を外部に任せている状態です。どこまで自分でやるかは程度の問題であって、全部か無かではありません。全部を自分で抱える必要はありません。事業を始めるのが目的です。
全部を自分で抱える必要はありません。事業を始めるのが目的です。
この章で参照した情報freee会社設立(公式)「freee会社設立|無料で安心、簡単に設立手続き」(2026年9月9日 確認)
まとめ:5段階の地図を持って進む

会社設立を自分でやる手順の全体像について、ここまでの内容をまとめます。
- 全体は5段階。決める・作る・認証・登記・届出
- ツールが担当するのは「作る」だけ。あとは自分
- 「決める」がいちばん時間がかかる。ここを先に済ませる
- 「認証」は株式会社のみ。合同会社にはこの段階がない
- 「登記」の申請日が設立日になる。完了はその数日後
- 「届出」には期限がある。社会保険の5日以内が最短
- 待ちは4か所で発生する。先に始めれば全体が縮む
freeeを使って自分で会社設立を進めるなら、この地図を手元に置いておいてください。個別の工程で迷ったとき、いま自分がどこにいるのかが分かります。
期間の目安は、株式会社で2〜3週間、合同会社で1〜2週間。ここに登記完了までの数日から10日が加わります。
この記事の内容は2026年9月9日時点で確認したものです。制度は変わります。実際に進めるときは、各章の出典リンクから最新の内容を確かめてください。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「会社設立手続きは自分でできる?かかる費用や必要な手続きを解説」(2026年9月9日 確認)
会社設立の手続きは、初めての人には迷路のように見えます。でも、5つの段階に分けてみれば、やることは意外と単純です。決めて、作って、出す。それだけです。
いま自分がどの段階にいるのかが分かれば、次に何をすべきかも見えてきます。この地図を手元に置いて、一歩ずつ進んでください。
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