電子公告を選んだあとの運用|会社設立で決めた方法をどう守るか
電子公告を選んだ場合に、設立後どう運用するのかを整理しました。掲載期間や調査の要否、URLの扱いまで、会社設立を自分で進めた人が困らないようにまとめています。
会社設立の定款で電子公告を選んだ、あるいは選ぼうか迷っている人に向けた記事です。選ぶこと自体は簡単ですが、選んだあとに何が求められるのかを知らないまま決めると、あとで困ることがあります。
掲載する期間、調査が必要になる場面、URLを変えたいときの手続き。この記事では、電子公告を選んだ会社が実際に向き合うことになる論点を整理します。会社設立を自分で進めた人が、設立後も困らないようにするための内容です。
電子公告を選ぶと、URLが登記事項になる

電子公告を選んだ場合、公告を掲載するウェブページのURLが登記事項になります。会社設立の登記申請の段階で、このアドレスを決めておく必要があるということです。
定款そのものにはURLを書かないのが一般的な実務です。定款に書いてしまうと、サイトのアドレスが変わるたびに定款の変更が必要になってしまうためです。
とはいえ、登記事項である以上、URLを変えるときは変更登記が必要になります。定款変更よりは軽いものの、費用と手間はかかると考えておいてください。
つまり、会社設立の段階でURLを決めるということは、そのアドレスを当面は動かさない前提で選ぶということでもあります。ドメインを取得したばかりで方針が固まっていないなら、慎重になるべき場面です。
freeeの入力で電子公告を選んだ場合、このURLをどこかで入力することになります。会社設立の書類を作る前に、掲載場所を決めておいてください。
実務では、トップページではなく「/koukoku/」のような専用のページを用意することが多いようです。サイトの構成を変えてもアドレスが動きにくいためです。
自分で会社設立を進めるなら、ドメインの取得とサイトの構成を、登記の前に考えておく必要があるということになります。
freeeの入力画面ではURLの欄が出てくるだけなので、その重みは伝わってきません。この点が面倒だと感じるなら、官報を選んでおくほうが会社設立の準備は軽く済みます。
この章で参照した情報法務省「電子公告制度について」(2026年9月9日 確認)
掲載しなければならない期間がある

電子公告には、一定の期間にわたって継続して掲載しなければならないという決まりがあります。載せた瞬間に公告が完了するわけではありません。
決算公告の場合、定時株主総会の終結の日後5年を経過する日まで継続して掲載することが求められるとされています。つまり、5年間はそのページを維持し続ける必要があるということです。
この点が、官報との大きな違いです。官報なら掲載した時点で完了しますが、電子公告は「載せ続けること」まで含めて義務になります。
サイトを閉じたり、サーバーの契約を切らしたりすると、公告として成立しなくなる可能性があります。会社設立の段階で電子公告を選ぶなら、この継続性を引き受けられるかを考えてください。
freeeで会社設立の書類を作ること自体は簡単でも、設立後の運用まで含めると話が変わってきます。ここは自分で判断する部分です。
事業が続く限りサイトも維持するつもりなら、この条件は問題になりません。むしろ、掲載費用がかからないぶん有利です。
freeeで会社設立の入力をしている時点では、サイトの計画まで固まっていないことが多いはずです。逆に、サイトを持つかどうかも決まっていない段階なら、官報を選んでおくほうが安全でしょう。
自分で会社設立を進めるなら、5年という期間の重さを一度考えてみてください。事業の見通しと合わせて判断する項目です。
この章で参照した情報法務省「電子公告制度について」(2026年9月9日 確認)
電子公告調査が必要になる場面

電子公告のうち、一定のものについては電子公告調査機関による調査を受けることが求められます。ちゃんと掲載されているかを第三者が確認する仕組みです。
この調査には費用がかかります。金額は調査機関や公告の内容によって変わるので、必要になった段階で確認することになります。
一方、決算公告については調査が不要とされています。小規模な会社が電子公告を選ぶ主な目的が決算公告なら、この費用は発生しません。
調査が必要になるのは、合併や資本金の減少といった、債権者に影響する場面での公告です。会社設立の直後にこうした場面が来ることは、まずありません。
つまり、決算公告だけを電子で行うなら、費用の面での利点はそのまま残ります。会社設立の段階で電子公告を選ぶ理由としては、これが中心になるでしょう。
freeeを使って自分で会社設立を進める人の多くは、当面は決算公告だけを意識すれば足りるはずです。
ただし、事業が育って組織再編を考える段階になれば、調査の話が出てきます。そのときは専門家に相談することになります。
freeeのヘルプではここまで細かい制度の説明はありません。制度の詳細は法務省が案内を出しています。実際に該当する場面が来たら、そちらを確認してください。
この章で参照した情報法務省「電子公告制度について」(2026年9月9日 確認)
掲載するページの作り方

電子公告を選んだ場合、実際に掲載するページを用意することになります。決算公告なら、貸借対照表を掲載するページです。
実務では、トップページではなく専用のページを用意することが多いようです。サイトのデザインを変えたり構成を組み替えたりしても、アドレスが動きにくいためです。
掲載する内容は、貸借対照表の要旨で足りるとされています。細かい形式は会社法の定めによるので、実際に公告する段階で確認してください。
会社設立の直後は、まだ決算が来ていないので掲載する内容がありません。ページだけ作っておいて、最初の決算のあとに内容を載せる形になります。
ページを用意しておくこと自体は難しくありません。freeeで会社設立を済ませたあと、サイトを作るときに1枚追加しておけば済みます。
ただし、そのページを5年間維持する必要があります。サーバーの契約やドメインの更新を忘れると、公告が成立しなくなる可能性があります。
自分で会社設立を進めた人にとって、この管理も自分の仕事になります。ドメインの更新日をカレンダーに入れておくくらいの用心はしておいてください。
freeeで会社設立をしたあと、サイト制作を誰かに頼むこともあるでしょう。サイトを外部に委託している場合は、公告のページを消さないよう伝えておく必要があります。
この章で参照した情報電子定款に記載すべき内容と注意点「公告方法の選び方|電子定款に記載すべき内容と注意点」(2026年9月9日 確認)
官報から電子公告に変えたいとき

会社設立の段階で官報を選んでおいて、あとから電子公告に変えることもできます。実務上も珍しくない流れです。
手続きとしては、株主総会の特別決議で定款を変更し、変更登記を申請します。登録免許税は資本金1億円以下の会社なら3万円が目安とされています。
電子公告に変える場合は、掲載するURLも登記事項として定めます。つまり、サイトが用意できてから変更するという順序になります。
この手順を知っておくと、会社設立の段階で無理に決めなくてよいことが分かります。迷ったら官報にしておいて、サイトができてから変える。これでまったく問題ありません。
freeeには設立後の変更登記を扱うサービスもあるので、そちらを使うという選択肢もあります。自分でやるなら、法務局の様式を使って申請します。
逆に、電子公告から官報に戻すこともできます。手続きは同じく定款変更と変更登記です。
freeeで会社設立の書類を作り直すのとは違い、登記の変更には実費がかかります。費用と手間を考えると、頻繁に変えるものではありません。会社設立の段階で当面の方針を決めておくのが得策です。
自分で会社設立を進めるなら、変更が可能だということだけ知っておけば、この項目で長く悩む必要はなくなります。
この章で参照した情報法務局「商業・法人登記の申請書様式」(2026年9月9日 確認)
合同会社の場合はどうなるか

合同会社には、株式会社のような決算公告の義務がありません。この点は、会社の形態を選ぶときの材料のひとつになります。
ただし、合併や解散といった場面では公告が必要になることがあります。そのため、公告方法を定款に定めておくこと自体は意味があります。
定めなければ官報とされるのは株式会社と同じです。会社設立の段階で特に決めなければ、自動的に官報になります。
決算公告の義務がないぶん、合同会社では公告方法を意識する場面がほとんどありません。会社設立の入力でも、深く悩む必要はないでしょう。
freeeで合同会社を選んだ場合も、公告方法の項目は出てきます。意味を知ったうえで選べば、数十秒で終わります。
この違いは、合同会社が選ばれる理由のひとつでもあります。設立の費用が安いだけでなく、設立後の義務も軽いということです。
自分で会社設立を進めて、その後も自分で運営していくつもりなら、こうした義務の軽さは実感として効いてきます。
freeeの入力でどちらの形態を選んだかによって、この先の義務も変わってくるということです。もっとも、株式会社を選ぶ理由があるなら、決算公告の義務はその形を選ぶうえでのコストのひとつだと考えるべきでしょう。
この章で参照した情報freee(バックオフィス基礎知識)「合同会社を設立する流れとは?自分一人で手続きする方法や必要書類・費用を解説」(2026年9月9日 確認)
公告方法の選択が、会社の運営に与える影響

ここまでの内容を、会社の運営という観点から整理してみます。公告方法の選択は、費用と手間のどちらを引き受けるかという選択です。

サイトを長く運用するつもりで、決算公告も自分でやるなら、電子公告のほうが費用は抑えられます。掲載費用がかからないぶん、毎年の負担が軽くなります。
一方、サイトの維持に自信がないなら、官報のほうが確実です。掲載のたびに費用はかかりますが、載せた時点で完了します。
freeeを使って自分で会社設立を進める人は、費用を抑えることを重視している場合が多いはずです。それでも、この項目については運用の手間まで含めて考えてください。
会社設立の段階で決めきれないなら、官報にしておく。この判断で困ることはまずありません。
この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「公告とは?意味や公告方法の種類、変更手続きを解説」(2026年9月9日 確認)
設立後に確認しておくこと

会社設立の登記が完了したら、登記事項証明書を取って内容を確認してください。公告方法がどう記載されているかも、このときに分かります。
電子公告を選んだ場合、URLが正しく登記されているかを見ます。入力の誤りがあれば、更正の手続きが必要になることがあります。
官報を選んだ場合は「官報に掲載してする」といった記載になっているはずです。意図した内容と合っているかを確認してください。
この確認は、公告方法に限った話ではありません。商号、本店、目的、資本金、役員。すべての項目を一度は読んでおくべきです。
freeeで作った書類の内容が、そのまま登記簿になっています。会社設立の入力で自分が答えた内容の答え合わせだと思って読んでください。
誤りが見つかった場合、その原因が申請書の記載にあるなら更正登記、そもそもの決定に誤りがあるなら変更登記という扱いになります。
自分で会社設立を進めた人ほど、この確認は丁寧にやったほうがよいでしょう。誰も代わりにチェックしてくれる人がいないからです。
登記事項証明書は、法人口座の開設などでどのみち必要になります。取ったついでに、内容も読んでおいてください。
この章で参照した情報法務局「会社・法人代表者の印鑑証明書を取得したい方」(2026年9月9日 確認)
まとめ:選ぶのは一瞬、運用は長く続く

電子公告を選んだあとの運用について、ここまでの内容をまとめます。
- 電子公告を選ぶと、掲載するURLが登記事項になる
- 定款にはURLを書かず、登記事項として定めるのが実務
- 決算公告は、株主総会の終結後5年を経過する日まで継続掲載が必要
- 決算公告には電子公告調査が不要。合併などでは調査が必要になる
- 掲載用の専用ページを用意し、5年間維持する
- 官報から電子公告への変更は、定款変更と変更登記で可能
- 合同会社には決算公告の義務がない
freeeの入力画面では数十秒で選べる項目ですが、選んだあとの運用は長く続きます。会社設立の段階で、その先を少しだけ想像してみてください。
迷ったら官報にしておく。サイトが安定して運用できるようになってから、電子公告に変える。この進め方がいちばん現実的だと思います。
この記事の内容は2026年9月9日時点で確認したものです。制度は変わります。実際に判断するときは、各章の出典リンクから最新の内容を確かめてください。
この章で参照した情報法務省「電子公告制度について」(2026年9月9日 確認)
会社設立の手続きは、書類を出せば終わりではありません。そこで決めたことが、そのあと何年も会社のルールとして続いていきます。公告方法は、その代表的な例です。
いま決めきれなくても構いません。官報にしておいて、事業が落ち着いてから考える。それも立派な判断です。大事なのは、意味を知らないまま決めてしまわないことです。
この記事は、あなたが会社設立を自分で進めるうえで役に立ちましたか?
押した数はこのサイト内だけで数えています。ボタンを押しても個人が特定される情報は送信していません。他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
この記事のキーワードに「会社設立 freee 自分で」を足して検索したときに実際に出てきたページです。掲載順は関連の近さで並べたもので、優劣を示すものではありません。
定款に何を書くのかと、freeeの画面で自動作成される範囲の説明。
freee.co.jp電子定款を代行に出さず自分で作る場合に何が要るのかが分かります。
freee.co.jp公告とは?意味や公告方法の種類、変更手続きを解説|弥生
- どんなページか
- 官報・新聞・電子公告の違いと、定款での定め方。
【体験談】会社設立freeeを使って10日で会社が作れた【口コミ・評判まとめ付き】
実際の日程が書かれた体験談。期間の感覚をつかむのに向きます。官報と電子公告のどちらを選ぶかの判断材料。
公告方法について|ひとりでできるもん (hitodeki.com)
- どんなページか
- 公告方法の選択肢と定款での書き方の説明。
9-4 定款認証 | 日本公証人連合会 (koshonin.gr.jp)
商業・法人登記の申請書様式 - 法務局 (houmukyoku.moj.go.jp)
設立登記申請書などの様式と記載例の配布元。会社設立後にやることは?優先順位と手続きの流れを解説|マネーフォワード (biz.moneyforward.com)
設立後の届出を優先順位つきで並べた記事。順番に迷うときに。登記をオンラインで申請する場合の制度説明。
会社設立したら法人も青色申告の申請を!メリットや期限などを解説|マネーフォワード
- どんなページか
- 青色申告の承認申請をいつまでに出すかを扱った記事。
あわせて読んでおくと迷わない記事
公告方法の決め方と定款の記載|会社設立で意識せず決まる項目
会社設立で決める公告方法を、官報・新聞・電子公告の3つから選ぶ考え方をまとめました。定款にどう書くのか、書かなかったらどうなるのかを自分で判断できるよう…
- 更新
- 2026.9.10
- 目安
- 約10分
- 分量
- 5,758字
発起人と取締役の決め方|会社設立で誰をどこに置くか
会社設立で発起人と取締役をどう決めるかを、立場の違いから整理しました。freeeの入力画面で同じ人を二度登録する理由まで、自分で理解できるよ…
freeeの会社設立ツールで足りないところ|どこから先が専門家か
freee 会社設立 ツールで足りな…freeeの会社設立ツールが担う範囲と、そこから先に残る作業を切り分けました。自分で会社設立を進める人が、どこで詰まるかを先に知るための記事です…
更新 2026.9.10 約9分 5,534字「freee会社設立を使ってみた」という記録に共通して出てくる場面をまとめました。会社設立を自分で進めた人がどこで手間取り、どこがあっさり済んだのかを工程順に整理しています。
freee会社設立を使ってみた人の話をまとめる|自分でやった記録から学ぶ
個人事業から法人へ|廃業届と引き継ぎで自分がやること
個人事業主が会社設立をして法人成りするとき、個人側で必要な手続きと引き継ぎを整理しました。freeeで自分で進める人が、…
freee 会社設立 開業 個人事業…|2026.9.10|約10分


