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新設法人のインボイス登録|出すか出さないかの判断

公開 2026年9月4日 更新 2026年9月10日 著者 佐々木 本文 約5,665字/読了 約10分

会社設立の直後にインボイス登録をするかどうかの判断材料を整理しました。freeeで自分で会社設立を進めた人が、取引先を見て決めるための記事です。

この記事を読んでほしい人

freeeで会社設立を終えて、税務署に出す書類を並べている。そのなかにインボイスの登録申請書があって、出すかどうか迷っている。そういう人に向けて書いています。

インボイスの登録は任意です。出さないという選択もあります。ただし、出すと消費税の免除がなくなります。この記事では、判断のための材料を整理します。

登録は義務ではない

登録は義務ではない
登録は義務ではない

まず前提として、インボイスの登録は義務ではありません。

適格請求書発行事業者になるかどうかは、事業者が選べます。

会社設立をしたら必ず登録しなければならない、という決まりはありません。

freee会社設立の画面では、設立後の届出についての案内も見られます。ただ、出す出さないの判断まではしてくれません。

freeeで会社設立を進めると、税務署に出す書類の候補としてこの申請書も出てきます。

でも、出すかどうかは自分で決めることです。

インボイス登録を検討する材料
会社設立の直後に、取引先を見て判断してください。

登録すると、免税事業者ではなくなります。消費税の申告と納付が必要になります。

つまり、免税の期間を自分から手放すことになるということです。

それでも登録する理由があるとすれば、取引先の都合です。

取引先が仕入税額控除を受けたい場合、インボイスの発行を求められます。

登録するかしないかで、あなたの会社の請求書の見た目も、納税の有無も変わります。小さくない選択です。

この点をどう見るかが、判断の中心になります。

自分で会社設立を進めてきた人なら、取引先の顔ぶれは分かっているはずです。

その情報をもとに考えてください。

国税庁のインボイス制度特設サイトに、制度の説明があります。

この章で参照した情報国税庁「インボイス制度特設サイト」(2026年9月9日 確認)

登録したほうがよい場合

登録したほうがよい場合
登録したほうがよい場合

登録を検討したほうがよい場面を挙げます。

取引先が法人や個人事業主で、その相手が課税事業者である場合です。

この場合、相手はあなたに支払った消費税を仕入税額控除に使いたいと考えます。

インボイスがないと、その控除が受けられません。相手の負担が増えます。

freeeで会社設立をしてすぐに事業者向けの取引を始めるなら、この点は早めに確認しておいてください。

だから、登録していない事業者との取引を避けたり、値引きを求めたりする動きが出ます。

同じ業界で先に法人化した人がいるなら、どうしているかを聞いてみるのも早い方法です。

業界によっては、登録が事実上の前提になっているところもあります。

会社設立の直後に、既存の取引先をそのまま引き継ぐなら、相手に確認するのが早いです。

個人事業から法人成りした場合、法人としてあらためて登録が必要になります。

個人事業主のときの登録番号は、法人には引き継がれません。

これは見落としやすい点です。会社設立のあとに、あらためて申請してください。

freeeで会社設立を進めた人が法人成りのケースだと、特にここを確認する価値があります。

請求書に載せる番号が変わるので、取引先への連絡も必要です。

自分で会社設立を進めるなら、この連絡も自分でやることになります。

この章で参照した情報弥生株式会社(起業・開業お役立ち情報)「新設法人はインボイスを発行できる?課税業者のなり方や消費税免除要件も解説」(2026年9月9日 確認)

登録しなくてよい場合

登録しなくてよい場合
登録しなくてよい場合

逆に、登録しなくても影響が小さい場面もあります。

取引の相手が一般消費者である場合です。

消費者は仕入税額控除をしないので、インボイスを必要としません。

小売、飲食、個人向けのサービスなどが当てはまります。

また、取引先が免税事業者や簡易課税を選んでいる事業者なら、インボイスを求められないこともあります。

この場合、登録せずに免税の期間をそのまま使うという選択が現実的です。

freeeで会社設立をしたばかりの時期は、手元の資金が限られます。納税が後ろにずれる効果は小さくありません。

会社設立から2期のあいだ免税でいられるなら、その分の資金を事業に回せます。

freeeで会社設立をして、消費者向けの事業を始める人は、この選択を検討してよいでしょう。

会社設立の直後にすべてを決め切る必要はない、というのがここでの結論です。

あとから登録することもできます。必要になった時点で申請すればよいのです。

取引先の構成が変わったら、そのときに考え直せばよい話です。

最初にすべてを決める必要はありません。

自分で会社設立を進めるなら、この柔軟さも自分の武器になります。

判断を先送りにできる項目は、先送りにしてよいのです。

この章で参照した情報会社設立後2年間は免税期間?インボイスはすぐに登録するべき?「会社設立後2年間は免税期間?インボイスはすぐに登録するべき?」(2026年9月9日 確認)

新設法人の登録の時期

新設法人の登録の時期
新設法人の登録の時期

登録すると決めた場合の、時期の話をします。

新たに設立された法人には、登録の時期について特例があります。

事業を開始した課税期間の末日までに登録申請書を提出し、その課税期間の初日から登録を受けたい旨を記載すれば、初日に登録を受けたものとみなされるとされています。

つまり、1期目の決算日までに出せば、設立日にさかのぼって登録できるということです。

会社設立の直後にすぐ出さなくても間に合うということでもあります。

申請から登録までの期間は、申請の方法や時期によって変わります。国税庁のページで目安が案内されています。

ただ、登録番号が発行されるまでには時間がかかります。

請求書に番号を載せる必要があるなら、早めに出しておくほうが安全です。

freee会社設立で作った書類のうち、税務署に出すものは何通かあります。まとめて準備すると、行く回数が減ります。

freeeで会社設立を進めた人は、他の届出とまとめて出すのが効率的でしょう。

法人設立届出書や青色申告の承認申請書と一緒に準備できます。

申請の方法は、e-Taxと郵送があります。

e-Taxソフトのウェブ版なら、スマートフォンからも申請できるとされています。

自分で会社設立を進めた人なら、電子申請にも慣れているはずです。

国税庁の申請手続のページに、様式と手順が載っています。

この章で参照した情報国税庁「申請手続(適格請求書発行事業者の登録申請)」(2026年9月9日 確認)

2割特例という負担軽減措置

2割特例という負担軽減措置
2割特例という負担軽減措置

登録して課税事業者になった人向けに、負担を軽くする措置があります。

2割特例と呼ばれるものです。

免税事業者がインボイスの登録によって課税事業者になった場合に、納める消費税を売上税額の2割にできるという内容です。

仕入の集計をしなくても計算できるので、事務の負担も軽くなります。

ただし、適用できる期間が決まっています。

国税庁の説明では、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間とされています。

この記事を書いている2026年9月9日は、令和8年9月9日にあたります。

つまり、この措置が使える期間はもうすぐ終わるということです。

令和8年9月30日を含む課税期間までなので、会社設立の時期によっては1期分だけ使えることもあります。

freeeで会社設立の日程を決めるとき、この期限も材料のひとつになり得ます。ただし、税制の期限だけで設立日を決めるのも本末転倒です。

これから会社設立をする人は、自分の1期目がこの期間に入るかどうかを確認してください。

また、資本金1,000万円以上などの理由で課税事業者になる場合は、この措置の対象外です。

freeeで会社設立を進める人は、この点も含めて判断材料にしてください。

自分で会社設立を進めるなら、制度の期限は自分で確認する習慣をつけてください。

この章で参照した情報国税庁「2割特例 特設ページ」(2026年9月9日 確認)

簡易課税という選択もある

簡易課税という選択もある
簡易課税という選択もある

課税事業者になったあとの計算方法にも、選択肢があります。

原則の計算は、預かった消費税から支払った消費税を引くというものです。

これに対して、簡易課税という方法があります。

業種ごとに決められたみなし仕入率を使って、仕入の消費税を計算する方法です。

仕入の一つひとつを集計しなくてよいので、事務の負担が軽くなります。

ただし、基準期間の課税売上高が5,000万円以下であることなどの条件があります。

また、適用を受けるには届出書を出す必要があります。期限があるので確認してください。

会社設立の1期目から適用したい場合の期限は、原則と異なる扱いがあります。

課税事業者になったあとの計算方法
会社設立の時期によって、使える方法が変わります。

どの方法が有利かは、事業の内容によって変わります。

逆に、設備投資が大きい年は原則課税のほうが有利になることもあります。事業の中身で変わる話です。

仕入が少ない業種なら簡易課税が有利になることが多いとされています。

freeeで会社設立をして、そのままfreee会計で記帳するなら、どちらの方法でも計算はできます。

ただ、選択を間違えると税額が変わります。

自分で会社設立を進めた人でも、この判断は税理士に相談する価値があります。

この章で参照した情報マネーフォワード クラウド会社設立「法人成り(法人化)で消費税が2年間免除?インボイス制度の影響も解説」(2026年9月9日 確認)

登録後にやること

登録後にやること
登録後にやること

登録したら、実務の側でやることがあります。

まず、請求書の様式を変えます。

登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額などの記載が必要になります。

freeeで会社設立から会計まで通して使う人は、請求書の様式もそのまま整えられます。別のソフトを用意する必要はありません。

freeeの請求書機能を使っているなら、設定で登録番号を入れるだけで済みます。

会社設立の直後に設定しておけば、最初の請求書から正しい様式で出せます。

取引先への連絡も必要です。登録番号を伝えてください。

法人成りの場合、番号が変わったことを明示的に伝える必要があります。

受け取る側の処理も変わります。仕入先がインボイスを出せるかどうかの確認が必要です。

会社設立の直後から正しい形で記録しておくと、あとで直す手間が生まれません。

freee会計では、取引ごとにインボイスの有無を記録できます。

会社設立の直後から正しく記録しておけば、決算のときに困りません。

申告の回数が増えるということでもあります。会社設立の直後にこの負担をどう受け止めるかも、判断の一部です。

消費税の申告は、法人税の申告とは別に行います。

自分で会社設立を進めて申告も自分でやるつもりなら、この作業も増えます。

負担が大きいと感じたら、税理士に頼むという選択もあります。

この章で参照した情報国税庁「インボイス制度特設サイト」(2026年9月9日 確認)

取り消すこともできる

取り消すこともできる
取り消すこともできる

一度登録したあとで、やめたくなることもあります。

登録の取消しは可能です。届出書を出すことになります。

ただし、いつでも自由にというわけではありません。提出の時期によって、効力が発生する課税期間が変わります。

また、課税事業者を選択した場合には、一定期間は免税事業者に戻れないという制限があります。

だから、登録は気軽に取り消せるものではないと考えておいてください。

freeeで会社設立を終えた段階なら、まだ取引が始まっていないこともあります。その時期に確認しておくのが理想的です。

出す前に、取引先の状況をよく確認することをおすすめします。

会社設立の直後は、取引先がまだ固まっていないこともあります。

freeeで会社設立を終えた直後は、やることが多い時期です。急がなくてよい判断は、あとに回してよいのです。

その場合、しばらく様子を見てから決めるという進め方もあります。

1期目の末日までに出せば設立日にさかのぼれるので、待つ余地はあります。

freeeで会社設立を進めた人は、この時間の使い方も自分で決められます。

急かされて出すよりは、考えてから出すほうがよいでしょう。

自分で会社設立を進めるということは、こういう判断を自分でするということです。

迷うなら、税理士に一度相談してから決めてください。

この章で参照した情報国税庁「インボイス制度特設サイト」(2026年9月9日 確認)

まとめ:取引先を見て決める

まとめ:取引先を見て決める
まとめ:取引先を見て決める

ここまでの内容をまとめます。

  • インボイスの登録は義務ではない。出さない選択もある
  • 登録すると免税事業者ではなくなる
  • 取引先が課税事業者なら、登録を検討する理由がある
  • 消費者向けの事業なら、登録しない選択も現実的
  • 新設法人は、1期目の末日までに出せば設立日にさかのぼれる
  • 2割特例は令和8年9月30日までの日の属する課税期間まで
  • 個人事業から法人成りした場合、番号は引き継がれない

自分で会社設立を進めたということは、事業の全体像を自分で持っているということです。この判断も、その延長線上にあります。

freeeで会社設立を進めた人は、取引先の顔ぶれを一番よく知っています。その情報で決めてください。

迷ったまま出すより、確認してから出すほうが安全です。

この記事の内容は2026年9月9日時点で国税庁の公開情報を確認したものです。制度と期限は変わります。実際の判断の前に、国税庁のページか税理士で最新の内容を確かめてください。

この章で参照した情報国税庁「申請手続(適格請求書発行事業者の登録申請)」(2026年9月9日 確認)

申請書を前に迷っているあなたへ

インボイスの登録申請書は、会社設立のあとに出す書類のなかで、唯一「出さなくてよい」と言えるものかもしれません。他の届出には期限がありますが、これは選択です。

取引先に一度聞いてみてください。「インボイスは必要ですか」と。その答えが、あなたの判断の材料になります。聞かずに出すより、聞いてから決めるほうが納得できます。

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